人とのつながり, 防災

愛川町住民提案型協働事業について

事業名

「住民の移動能力を考慮した逃げ地図の作成と避難行動の具体化」

事業の主旨

簡単に言うと「地域の防災訓練をよくするための事業」です。
一部の担当者だけが実施する防災訓練ではなく、「自力で避難が困難な方」を含めて地域全員が逃げられることをめざし、地域の現状を細やかに把握し、災害時の避難行動を具体化した上で必要な防災訓練のメニューを検討し実施することを計画しています。特に、住民の移動能力と避難場所までの移動必要距離、災害時に不通になる可能性のあるルートを調査し、個々の避難行動の判断を適切に促すための地図を製作し避難行動を具体化するものとなっています。

小沢自治会の現状

小沢自治会では、災害時の避難経路を定期的に歩き、組単位での共助を行い、実際の避難行動は個別の判断に任せている状況です。一方で避難路が不便となる想定、自力避難困難者を含めた避難行動の具体化及び検討に必要な情報が十分ではありません。

事業について進捗

愛川町の協働事業として1月20日付で正式に採択されました。そのため、本事業で行われた取組みは小沢自治会モデルとして他地区、他市町村に発信される他消防・防災担当からのデータ提供や神奈川県への問い合わせなどフォーマルなかたちで取り組むことができるようになりました。2014年4月1日より、愛川町住民提案型協働事業として実施しています。

現在実施したこと・これから実施すること※(予定)と表記

2012年08月 防災士として福本塁が愛川町小沢地区自主防災組織にて東日本大震災発災時の取り組みについて講演を行う
      ⇒住民の不安について対策が不明瞭である声を聴く
2013年07月 小沢自治会に福本塁及び神奈川わかものシンクタンクより本事業を提案
2013年07月 小沢自治会の正式事業として役員会で決定
2013年08月 事業概要を自治会加入世帯へ回覧
2013年08月 愛川町住民提案型協働事業に申請(町への負担金額0円で提出し明確な役割を要望)
2013年10月 住民を対象したアンケートの作成及び配布
2013年11月 愛川町協働事業 公開ヒアリングによる審査
2013年12月 小沢自治会役員会に事業の状況報告
2014年01月 愛川町住民提案型協働事業として採択
2014年02月 茨城大学にてポスター発表
2014年03月 小沢自治会総会にてアンケート調査結果第一弾速報を発表。
2014年04月 愛川町協働事業として開始
2014年05月 隣組を単位とする互助のポテンシャルマップを作成(予定)
2014年06月 住民による逃げ地図を作成(プロトタイプ)(予定)
2014年07月 アンケートにより得られた知見を基に防災訓練のメニューを検討(予定)
2014年09月 防災訓練にて一部実施(予定)

アンケート回収率 66.3%

アンケートの回収率は66.3% ( 190軒中127軒回答)となり、住民の意向を議論するための資料としては精度が高い内容となっています。

こども・高齢者と一緒に行動する訓練メニューが必要

通常、小沢自治会の地域では隣組というご近所さん同士のしくみを利用した互助で災害時の対応にあたります。しかし、愛川町の担当課からは個人情報保護の観点からどこに避難困難な方がいるのかについて民生委員および行政区長を除き情報を出すことができません。また、地域を担う民生委員さんだけでは非常時の際に自力避難困難な方を全員避難させることはほぼ不可能です。
figure1
 図1 はアンケートから在住者の数と自力避難困難者の数を年代別にグラフにしたものです。そこで、本事業では全世帯にアンケートを配布し自力避難困難な方の数を組ごとに把握しました。詳細は公表できませんが、アンケートによると42名の自力避難困難者の方がいました。1 0 代~ 7 0 代までは自力で避難できる方が多いのですが、0 歳代や、8 0 歳代以上は多くの方が自力で避難できない方状況であることがわかりました。今後もこの傾向は進んでいくと考えられるため、「こども」や「高齢者」と一緒に行動することを想定した防災訓練・避難訓練のメニューを検討することが必要になります。同時に年代に関係なく自力での避難が困難な方は個々に事情を把握した上で具体的な救助や避難の方法を検討する必要があります。その際には自力避難困難な方やその世帯の方が能動的に方法を考え話し合う主体的な参加が必須になると考えています。

どの災害を対象に訓練すべきか?

人によって不安となる災害は異なります。また災害によって、突発的なもの(地震)や、ある程度前兆が掴めるもの(風水害)なども変わってきます。ごくごく当たり前なのですが、地域の防災訓練としては地域の住民が不安だと感じている災害から順に対応していく必要があります。
figure2
図2 のグラフは災害や危険について不安だと思うものを回答(複数可)していただき、その人数を単純に集計したものです。
その右側には「最も不安」と回答した人数を表記しています。( 地震~ 洪水まで)
この結果から小沢自治会では地震、水害、火災が不安要素の高い危険となっていることがわかりました。今後防災訓練の内容として「どの災害を対象に訓練すべきか?」という問いに対しては地震、水害、火災を想定した危険予測、事前対策、避難訓練を行っていくことが住民の不安の大部分に対応しており、優先度が高い状況であると考えられます。

大きな災害時にどこにどのように避難するのか?

今大きな災害が起きたとしたら、「どこに」「どのように」避難するのかについて、地震、洪水、噴火の3種類を想定していただき、回答頂きました。
figure3
上記図を見て頂きますと、地震災害の場合は、「徒歩で小沢児童館に行く」という行動が、ある程度定着しているという結果が読み取れます。一方で、「無記入または避難先が曖昧な回答」も4 0 %となっており、発災当初の避難行動を個々の判断に任せている以上、この4 0 % の方は安否確認がとりにくい状況をもたらす可能性を示唆しています。
 洪水の場合は、自動車を利用する方が4 3 %と高くなり、交通事故を起こさないための自動車での避難を十分に検討しておく必要があると考えます。特に、洪水の場合は事前に雨量や水位等で避難の目安がある程度判断できるので、段階的に避難する際の誘導が重要になると考えます。また、避難先について「無記入または避難先が曖昧な回答」が4 6 %と多く、特に高台というのが一体どこなのかを個別に特定し逃げ地図に反映することが防災訓練として有効だと考えます。
 噴火の場合は、単純に言うと「どうしてよいのかわからない」という方が多く、富士山の噴火の前兆現象等が見られた場合に混乱が起こる可能性があります。避難先は「無記入または避難先が曖昧な回答またはわからない」で6 0 % を占めており、どのような被害が生じるのか?また、噴火した場合の被害想定やその範囲など正確な情報を共有した上で、どのような避難行動の選択肢があるのかをきちんと示し、事前に備えることが重要だと考えます。

お問い合わせ

文責:福本 塁
e-mail:[email protected]
※本事業の画像、データについては無断利用を禁じます。(ご連絡頂ければ検討させていただきます。)

The following two tabs change content below.
福本 塁
防災トランプ開発者。1982年生まれ。3児の父親。愛川町在住。相模原市、横浜市在勤。東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻博士課程。 本業:株式会社ウイングベース代表取締役。 日常を舞台にした具体的な体験談をもとに「防災」について世代をこえて楽しく話し合う場を形成する活動を行っている。
Comment





Comment



2014-04-18 | Posted in 人とのつながり, 防災No Comments »